自然観察舎
ケイズテラスから数分の駒場野公園内を通ると、駒場東大前駅への抜け道になります。
時間にゆとりのある時は南門から入り、枕木の小道を歩きながら果樹園・雑木林・野草園・アカマツ林で森林浴を味わい東門へ向かいます。
武蔵野の貴重な植物が植えられている野草園横にいた先日、激しいにわか雨がありました。緑深いその場所で傘の必要はなく、舞い落ちる黄色い葉や緑がより鮮やかになっていく光景に見とれていました。
東門近くには、自然観察舎があります。
ミニ写真展「駒場野の四季といきものたち」開催中とあったので、日を改めて入ってみました。
四枚の大きなパネルには 約4年半前に生物多様性保全林に指定された園内の四季のいきものたちの写真が、展示されていました。
オオタカやヒヨドリの写真を見た時は、ウグイスの鳴き声(「ホーホケキョ」)に和まされながらケイズテラススロープで水やりをしている姿を思い出しました。
水槽内のカメは外来種が多く、日本在来種のニホンイシガメとはじっくり対面。じっとして動かないニホンアマガエルにも、注目。
中でも一番見入ってしまったのは、ホタルのコーナーです。
昔はこの公園の田んぼでも見られたヘイケボタルを他の場所から提供してもらい、
「駒場野ホタルの会」が飼育しています。
水が張られたトレーの中には、シャープペンシルの極細漆黒芯のような長さ約2.5㎜のものが沢山浮いていました。
じっと見つめていると、微かに動いています。
解説員が「2回目の脱皮をしました」と説明してくれても、目を凝らしてみても幼虫の形に見えません。相変わらず、両端が削られた動く芯です。
「これでご覧になってください」と持ってきてくれたルーペを通して見ると、「オオッ!」写真と同じ幼虫の姿でした。
巻貝のカワニナを食べる幼虫は6回の脱皮のあと春にサナギになり、約2か月後成虫になります。
6月下旬頃ホタルの観察会が開けるように1年間かけて育てられているそうですが、並々ならぬホタル愛に脱帽です。
地域の学校やボランティア・さまざまな団体が加わって駒場野公園の豊かな自然が保たれています。
約2年前には大池の水を抜き天日干しする、かいぼりが行われました。水がきれいになり外来種を取り除いたことで在来種が住みやすくなり、色々な生き物が生息しやすい環境になりました。
ケルネル田んぼでは、50年以上にわたり近くの学校の生徒たちが水田学習をしています。一年を通して稲作をし、収穫したもち米は卒業式や入学式で赤飯として配られるそうです。その学校がケルネル水田を未来に継承するためのクラウドファンディングを行い、募集終了日の先月末には目標金額の1.4倍強の寄付がありました。公園の未来が明るいものとなり、若者達の発想力・行動力への期待が膨らみました。
伐採した木の幹や枝で作られた園内の「そださく」は、小さな生き物たちのすみかとしてや桜の根を守るため等に置かれています。
“そださく”の小径も作られています。
夏休み中は、ケイズテラス前を虫とり網とからの虫かごを持った親子が通ります。公園内で捕まえた昆虫は観察した後に元の場所に戻しているようで、帰りの虫かごが行きと同じ状態のことが多いです。
園内には落ち葉から作る腐葉土や生ごみから作る堆肥の囲いが点在していますが、自由に持ち帰れる腐葉土の囲いもあります。
家庭菜園やお花作りに利用され、地域に緑が拡がるのに役立っています。
都心にあっても四季折々の自然が感じられるこの環境は、とても貴重です。
2年前の今ごろ、公園南門近くでセミの羽化を初めて見ました。
幼虫が穴から地上に出て羽化する木へ向かって歩く姿や
アイスグリーンのような薄緑色の神秘的な羽に魅了された
当時のシーンが、今でも脳裏に焼き付いています。
コロナ禍で '20 と '21 は展示だけになっていた「かかしコンクール」は今年から「かかし応援隊」として生まれ変わり、来月上旬には新作かかしが展示予定だそうです。
🌳 地域の皆が一体となって
いつまでも楽しく豊かに自然と共生していければと、
願っています。 🌳